初詣妄想 6


(6)
初詣に明治神宮を選んだのは、成功だったかもしれない。
三が日も過ぎ、しかも午後となれば空いているかと思ったが、
参道は人で埋め尽くされていた。
「アキラたん、随分混んでるから、はぐれないように気を付けなきゃ…」
そう言って俺が手を伸ばすと、アキラたんはその手をしっかりと握ってくれた。
アキラたんの手は、手袋越しでもほっそりとしていて、でも温かだった。
「なんか今日暑いし、手袋脱ごうかな……」
アキラたんのその言葉の意味することは、俺にもすぐに分かった。
「そうだな。確かに、今日はあったかいし、手袋なんか要らないな」
そう返事をすると俺も手袋を脱いで、再びアキラたんの手を握った。
アキラたんの手がしっかりと力強く握り返してくれている。
しかも、アキラたんの笑顔付き。それだけで俺は、頭の中が真っ白に爆発しそうだった。
普段なら人目を気にせざるを得ないその行為も、こんな場所でなら何の抵抗もない。
俺達は、はぐれないように、という名目で、ずっと手を繋いでいた。

「そうだ、アキラたん。昨日はどうだった?」
昨日、1月3日は塔矢門下の新年会だというので、初詣デートは1日お預けだったのだ。
だが、アキラたんは言葉を探しているようだ。この話題はちょっと唐突だったろうか。
 
 



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