第162局補完 6


(6)

「塔矢、オレ、予選、絶対勝つからさ。
絶対勝って選手になってオマエの隣に立つから。
だから待ってて。」

「オレが不甲斐なくてオマエを安心させられないかもしれないけど、でも、オレ、絶対やるから、
だから待ってて。オレの事、見ていて。」
「何を、図々しいことを、キミなんか、」
悔しい。
すごく悔しい。
怒ってたはずなのに、こんな事を言われて、こんな風に抱きしめられて、さっきまでの怒りが霧散
してしまうなんて、この腕が心地良いと思ってしまうなんて、悔しい。
それなのに、宥めるように髪を梳かれて、見つめられると、その後に来るものを期待してしまう。
それなのに。
「塔矢…塔矢、キスしていい?」
どうして今日に限ってわざわざそんな事を聞いてきたりするんだ。
嫌だって言ったらやめるのか。なんて無神経な奴なんだ。
「……いつも、そんな事聞いたりしないで勝手にするくせに。」
「ダメ?」
答えることができなくて、アキラは視線を斜め下に彷徨わせた。



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