検討編 6
(6)
「塔矢…」
熱にうかされたような掠れ声で、名を呼ばれる。
その声に煽られる。流されてしまいそうになる。
「塔矢…好きだ。」
ぷつり、と、アキラの中で何かが切れた。
自分自身を繋ぎとめていたロープの、最後の一本が断ち切られて、そのままアキラは熱い奔流の
中に飲み込まれた。
アキラの身体を探っていたヒカルの手はもはや荒々しくアキラのセーターを捲り上げ、シャツの
ボタンを外そうとする。
「ああ、もうっ…!」
思うようにボタンが外せなくて、苛立たしげにヒカルが小さな声をあげる。
その手を制してアキラが捲くれ上がったセーターを頭から引き抜き脱ぎ捨て、更に残りのボタンを外し、
シャツを床に放り投げる。
一瞬、びっくりしたように手を止めたヒカルはすかさず自分の着ていたトレーナーとパーカーをまとめて
脱ぎ捨てると、アキラの手が伸び、ヒカルの身体を抱きしめた。
そしてもつれ合うようにソファに倒れこむ。
直接触れ合う肌と肌に、その熱さに目が眩む。
激しく響く心臓の音が、どちらのものなのか、もう、分からない。
「…塔矢、」
擦れた声で名を呼ぶ唇に、貪りついた。
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