祭の後・又はプチの恩返し 6


(6)
突然、そんな重苦しい空気をふきはらう、明るい太陽の陽射しのような声が響いた。
「なあっ塔矢いる?しりとりの続きやろうぜ!」
「ひ、ヒカルたん…」
「なんだ、どうしたんだ、何泣いてるんだ?」
ヒカルたんは製作者のもとへ駆け寄った。
優しいヒカルたんは、例え知らない人でも、泣いてる人に知らん振りなんてできないのだ。
ポカンとして、製作者はヒカルたんを見詰めた。
泣き続けたらいいのかハァハァしたらいいのか、あまりにも急激に現われたヒカルたんの
眩しいまでの笑顔に、呆けたまま、そこに固まってしまった。
プチ住人の一人が彼に変わってヒカルたんに事の仔細を話してやった。
「バカだなあ、マスクなんてただのマスクじゃないか。
オレはここにいるんだぜ、マスクじゃなくてオレにハァハァしろよ、な。」
ヒカルたん…なんて優しい子なんだ。オレの思いは今、報われたのかもしれない。
ああ、ヒカルたんが目の前にいるなんて、こんな幸せな事があるだろうか…。
夢か幻かも知れない。だがマボロシでも構わない。
マスク製作者はそっと手をヒカルたんに向かって伸ばそうとした。
その時。
「ヒッカルたあああああああああん!!!!!!!!」
大きな声が聞こえたかと思うと、マスク製作者の身体は思いっきり突き飛ばされた。



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