少年王アキラ? 6
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少年王をひょいと横抱きにすると、その勢いでオガタンはくるりと一回転して
みせる。
慣れたもので、ハマグリゴイシも上手い具合に着地点にスタンバイしていた。
「あのね、オガタン」
「まだなんかあるのか」
些かうんざりしたように溜息を吐くが、それでもオガタンはこの愛くるしい少
年王の乱れたおかっぱやはだけられたパジャマの上着を正してやる。
異星に流れ着いて15年。そんな風にして彼はこの星の若き主を見守ってきた
のだ。この星でのオガタンの歴史は、そのまま少年王との歴史でもあった。
「本選でね、ボクがレッドのハートを確実にゲットできるかどうか…見てて欲し
いんだ」
ハマグリゴイシの長い首に抱き着いて、少年王は可愛らしく小首を傾げて見せ
る。いつものオネダリのポーズに、オガタンは悩殺されそうになった。
だが、オガタンはある単語に過剰に反応してしまう。
「本選、だと……?」
「ウン」
アキラ王はこっくりと頷き、『これは命令と受け取ってもらっても構わないよ』
なんて鬼畜なことを言い出した。
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