pocket-sized Xmas 6


(6)
今朝目が覚めたアキラたんが、ちょっとがっかりした顔をしたのには訳がある。
昨夜アキラたんは何年ぶりかで、サンタさんにお願いをして寝たのだ。
「ボクに、ちゃんとした大きな体をください」と。
サンタさんに「プレゼント」を入れてもらうために、
アキラたんは予め俺の靴下を引っ張り出してその中に入って寝た。
「あ、でもボクが急に大きくなったら、英治さんの靴下破いちゃうかも・・・」
「そんなの全然構わないよ!今年は俺も、アキラたんと同じお願い事して寝るからね」
「ありがとうございます。子供っぽいとは思うんですけど、でももしかしたらって・・・
あの、もし万が一これで元の大きさに戻れたら、アルバイトでもして新しい靴下を
お返ししますね。今までの生活費も」
「何言ってるんだよ、そんなの気にするなよ!サンタさん、来てくれるといいね」
「はいっ」
昨夜は、そんな会話を交わして眠りについたのだった。

まだサンタさんを信じていたというわけではないんですけど――と何度も断りながら、
でもなんとなくそわそわしていたアキラたん。
俺もこの年になってサンタを信じてるわけはないが、それでももしかしたらと思っていた。
アキラたんは原因不明で小さくなったのだ。
だったら、原因不明の奇跡が起こって元に戻れたっておかしくないじゃないか。
聖なる夜に。
魔法が解けるみたいに。
――そしたら力いっぱい抱きしめよう。
今まで出来なかった分まで強く強く。ありったけの思いを込めて。



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