通過儀礼 覚醒 6
(6)
「ち…違うもん。ただ…あんまり痛くなくなったから…」
アキラは顔を赤らめて何とかごまかした。
「ふ〜ん」
たかしは疑るような目つきで、ペッタリと貼られた湿布の上からアキラの珍子の輪郭を何
度もなぞった。
「アン! や…やめてよ、たかしくん!」
「やっぱり気持ちいいんじゃん」
たかしはそう言うと、アキラの声にあわせて珍子を行き来する手に力を入れた。
アキラはその年齢では考えられないほど甘く色っぽい声でないた。だがたかしに珍子をな
でられることが気持ちいいとばれた恥ずかしさと自分を抑えきれない悔しさに、アキラは
たかしの手を振り払った。
「たかしくんのエッチ!」
アキラはそう言うとパンツとズボンを履いた。
「なんだよ、それ! エッチなのはアキラくんの方だろ」
罵られて腹が立ったたかしはアキラの股間をぎゅっと握った。
「やん、ヤダ…はなして」
モニョモニョと股間を動きまわる指を感じつつ、アキラは唇を噛んで我慢した。
「ほら、チンチンさわられて気持ちいいんだろ。やっぱりエッチなんじゃん」
たかしはいたずらっぽく言った。
「だって…だって…、さわってきたのたかしくんからでしょ。ボク…それまで気持ちいい
って思ったことないもん。たかしくんのせいだもん」
そう言い切ると、アキラはついに泣き出してしまった。それにたかしはあわてる。
「ごめん。泣かないでよ、アキラくん」
たかしはおかっぱ頭をなでた。
アキラはわかっていた。それが言い訳であることも、泣いてそれをごまかそうとしている
自分にも。だがそれでも自分に優しく接するたかしに、申し訳なくなったアキラはこの場
から逃げたくなった。
「もうボク帰る」
アキラはそう言って部屋を飛び出していった。
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