初摘み 6
(6)
二人で過ごしていると、時間がたつのが早い。夜が更けるにつれ、落ち着かない気分になる。
ヒカルは、アキラが何かする度にビクビクした。自分がこんなにドキドキしているのに、
すました顔のアキラに腹が立つ。『やっぱ…慣れてんのかな…』ヒカルの目から見て、
アキラは同じ年とは思えないほど落ち着いている。もしかしたら、こういうことも経験済み
なのかもしれない。だから、自分のことを子供扱いするのだろうか…。
「進藤。」
考え事をしていたヒカルをアキラが呼んだ。
「な…なに?」
声が、ひっくり返った。アキラは、おたおたするヒカルを笑ってみている。
「お風呂が沸いたよ。入るだろ?」
「……うん…」
顔が火照る。アキラの言葉に深い意味はないというのに…。
「どうしたの?なんなら、一緒に入る?」
からかうようなアキラのそぶり。半分くらいは本気かもしれない。
ヒカルは、慌てて風呂場に行った。
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