heat capacity 6


(6)
ただ獣のように呻いて、啼くだけしか出来ずに進藤は僕の腕の中で震えている。
進藤の精液でぬめった手をそのまま上半身に皮膚を伝って滑らせた。
シャツが引っ掛かって捲れ上がるが気にせずに僕は狙っていた場所に正確な位置制御で指をあてる。
肩の下でひゅっと息を飲む音が聞こえた。
細かいリズムを刻んで腰を使う度に、胸に添えた指が小さな果実の先端をほんの僅かな刺激で掠める。進藤は僕の服を握り締めて、襲いくる快感の波に必死に耐えているようだった。
指先に触れる突起は充分に堅くなり、その存在を明確にしている。きっとこの布一枚を捲りあげれば、充血して色付いた可愛らしいそれを見る事ができるだろう。
「もー…やだ……」
我慢出来なくなったのか、進藤がぐすぐすと鼻を鳴らしながら、僕を見つめた。目からは透明の真珠のような涙が止めどなく頬を滑り落ちる。
小さく開いた口からも同様に唾液が唇から顎に掛けて淫微なラインを描いていた。
「…はやく、……っ」
「イかせて欲しいの?」
こくこくと小さく頷く。全く、こんな時までなんて可愛いんだろうね、進藤。
こういう進藤を知っているのは僕だけだと思うと目眩がする程に幸せだ。
だからこそ、他の物に心を奪われる彼が愛しさと同じ分憎い。
僕は先程までとは打って変って彼を思う様に激しく揺さぶった。
焦らすのも手段の一つだが、他にもやり方はある。
最奥まで突き上げて、入口付近まで引き抜く。狭道は既に身体に染み込んだ快感をよりよく得られる方法をそのままに実践し、収縮を繰り返した。
締め付け逃がさないようにし、柔らかく迎え入れる。ただそれだけの動きが、僕にとてつもない歓喜を与えた。
そして、僕が内壁を擦りながら貫くという行為が、進藤の心身の敏感な部分に触れている事もまた、僕の心に大きな充足感を齎(もたら)した。
既に相当に昂っていた進藤は、僕の何度目かの突上げにあっさりと欲望を吐き出した。
だが、僕は動きを止めない。
「とう、や…っ、…ま…まだ……ダ、…メ…ッ、た…のむ、から……っ」
進藤の懇願は、僕の耳を通り過ぎただけだった。



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