少年サイダー、夏カシム 6


(6)
「・・・ん、・・・んんぅー!!」
ヒカルは力の入らない手で和谷を殴る。しかし全く抵抗にならないその行為に和谷は気づかない。
ヒカルと和谷の口の隙間からは、ヒカルが飲み込めなかった炭酸飲料が次から次へとこぼれてゆく。
和谷はそれに気づき、少しづつヒカルの口へと流し込むようにした。ヒカルはコクッ、コクッと小さくのどを鳴らして飲み込んでいる。
やがて和谷の口は空っぽになったが、ヒカルから口を離さなかった。それどころかラムネの味がするヒカルの唇や舌を、しゃぶりつくかのように荒っぽいキスをする。 
ヒカルは頭痛と息ができないことの苦しさから、何とか解放してもらおうと和谷の手を思い切り引っ掻いた。
「痛っ!!」
和谷はようやくヒカルから体を離した。手にはうっすらと引っ掻いた跡が残る。
ヒカルは酸素不足のせいかひどく息を荒げている。目にはたくさんの涙を溜め、キッと和谷を睨んでいた。その姿はまるで怒りに震えた子猫のようだった。
「和谷、・・・何するんだよ」
ヒカルは明らかに怒っていた。しかし和谷はその顔さえもかわいいと見つめている。
「何で、こ、こんなこと・・・」
ヒカルは頭痛をこらえながらベッドから起き上がると、軽蔑をこめた目で和谷を見下ろした。そして何度も何度も口をTシャツや布団などで拭う。和谷はその行為にムスッとした。
「オレは、・・・口移しでなんて頼んでないぞ」
ヒカルは涙ながらに訴える。
「え? だっておまえ・・・飲ませてくれって」
 和谷は何が悪いのかわからないとでもいう顔をする。その姿はふざけているようには見えなかった。どうやら和谷は勘違いをしたのだろう。
 しかしそうはいっても、ヒカルは和谷の行為を許すことはできなかった。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!