墨絵物語 6
(6)
ヒカルを悦ばせている大筆はそのままに、男は別の筆を取り出し
朱墨の入った容器にそれをどっぷりと浸し、しばらく放置した。
その間も大筆の動きを休めることなく、
押したり引いたり、斜めに衝いたりとなかなかに忙しない。
数分後、男は容器から筆を取り出すと、ヒカルの後ろから大筆を抜き、
その代わりに下半身に満遍なく朱墨を塗り付けた。
「!!!」
急に冷たい刺激を受け、暴発寸前のペニスがひくひくと攣るような
動きを見せる。ぴゅぴゅっと二、三度精が弾け飛んだ。
(いまか!)
男は空いた手で下敷きと文鎮と金で縁取られた黒の高級紙を取り寄せると、
いつものようにセットし、続いてヒカルの腕と柱を繋ぐ紐をナイフで切断した。
支えを失い畳に落ちた背中を男はすぐさま抱きかかえると、
用意した紙の上に跨がせ、猛り狂うヒカルのモノを強引に手で押し付けた。
「ンン──ッ!」
強力な刺激に全身を総毛だたせながらヒカルは達した。
紙の上だけでなく、畳の上にも白い液が飛び散っている。
その激しい迸りこそ若さの特権。肩で荒い息を繰り返すヒカルの髪を、
男は顔をほころばせながら指で優しく撫でつけた。
「よく頑張ったね…おかげでいい『作品』が出来たよ」
完成した作品の上に半紙をかぶせ、余分な墨を取る為、一度文鎮で軽く押さえる。
それを机の上に置くと、男はネクタイを緩めながらヒカルに囁いた。
|