社妄想(仮) 6
(6)
「ふぁっ……」
産毛だけに触れるようなもどかしい感触に、ヒカルは身を捩る。
そのまま指を耳へと滑らせ、耳の裏を行き来する。
ヒカルが声を堪えるように唇を噛むのを見て、社が耳許で囁いた。
「心配せんでも最後まではやらへん。それは後にとっとくからな」
そして素早くヒカルの耳朶を口に含むと、わざと音を立てて舐めた。
ヒカルが苦しげに眉を顰めるのを見て、更に耳の奥へと舌を滑らせる。
「やっ……あ、……や、やだあぁっ!」
聴覚まで犯されるような感覚に、ヒカルは堪らず嬌声を上げた。
瞳からは絶え間なく涙が零れ落ちる。
社はヒカルの前髪の一房を掬うと、眦に残る涙をそっと吸い取った。
|