大人遊戯 6 - 7


(6)

「緒方さんは、女の人の舌を舐めてたんだ。女の人も緒方さんの舌を舐めてた。それもしてみようよ」
「うえっ!?だって、そんなの、何か気持ち悪くないか?」
保健体育の授業を受ける前までキスだけで子供が出来ると信じていたヒカルには想像もつかない行為だった。
「うん、ボクも最初はそう思ってたんだけど、でも気持ち良さそうだったよ、二人とも」
そう言われれば、やってみようかと好奇心が湧いてくる。子供達はお互いの舌をペろりと舐めてみる。
先ほど飲んだアップルジュースの味がした。二人でその甘さを夢中になって貪る。
「んっ…っ、ふっ…ぅ」
「…はぁっ…んっ」
息が上がってきて苦しくなり、どちらからともなくゆっくりと顔を離すと唾液の糸がつ、と伝った。
「んっ…進藤くん、ねえ…どう?気持ち、悪かった…?」
「わ、わかんねー…よ、息が、苦しくって。でも…思ったより美味しかった」
多分それはジュースの味だったのだろうが、ヒカルが想像していた気持ち悪さはなく、甘さだけが残った。
ヒカルの言葉に、アキラは嬉しそうに頷く。ヒカルとのキスは想像していたそれよりずっと気持ちが良かった。


(7)
唐突に、アキラはヒカルのトレーナーをめくりあげ始めた。
「わっ!わっ!何すんだよっ、いきなりっ!寒いじゃんか!」
ヒカルはアキラの腕を掴んで動きを阻もうとしたが、アキラは止める気配を見せない。
「だって、脱がなきゃ。そうしないとセックス出来ないじゃないか」
きょとんとした瞳に見つめられ、ヒカルは今度こそ混乱した。
「…エエエッ!?せっ、せっ、それって…な、何でオレとお前がエッチしなくちゃいけないんだよ!?」
そうだ、ドラマでたまに見た事がある…男優と女優がベッドの中でうっふんあっはんとか言ってるシーンだ。
その様にしか想像できないヒカルには、所詮大人の男女のする事で、遠い世界の事なのだ。
子供の、まして男同士の自分達に出来る事とは夢にも思う事が出来ないのが小学6年生のヒカルと言う子供なのだ。
「好きな人同士なら、絶対することなんだよ。ボクのお父さんとお母さんも夜お布団の上でしてたよ。ボク見たもの」
「うそっ!?お父さんとお母さんもエッチすんの!?」
「そうだよ。だからボク達が生まれたんだって、保健体育の時間習ったじゃないか」
「そうだけど…でも、ウチのお父さんとお母さんがエッチすんの、想像できねー…」
「ボクもそう思ってた。でも夜中ボクがトイレに起きたら、お父さん達の部屋から声が聞こえたから、こっそり見て
 勉強したんだ。本当だよ。お父さんとお母さんは愛し合ってるから、セックスするんだよ、きっと」
真っ直ぐに見詰め返すアキラが嘘をついているとは思えなかった。ただ、ヒカルはびっくりして何も言う事が出来なかった。



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