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(6)
「…なん…だよ…お前…」
ヒカルの口から放たれた声は微かに震えていた。
サングラスの奥からは表情を読み取れない。
その男の異様な気配に、ヒカルは一歩あとずさった。
塔矢の携帯、見知らぬ男。不吉なものが胸をよぎるのを感じた。
(7)
ヒカルは握り締めていた塔矢の携帯をズボンのポケットに押し込んだ。ヒカルよりはかなり背の高いその男は一歩一歩ヒカルへとにじり寄ってくる。後ずさりしようとするが、ヒカルはすぐに壁を追い詰められてしまった。心臓が早鐘のように鳴るのが、ヒカルの逃げ出す隙を与えさせない。
瞬間、男がヒカルへ飛びかかってきた。
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