通過儀礼 自覚 6 - 9


(6)
加賀は無我夢中になってアキラの股間を撫で回した。自分より体の小さい年下の者をいじ
めるのは趣味ではないが、今はアキラをもっとなかせたくて仕方なかった。なぜアキラの
自由を奪ってでもしたいと思ったのかはわからない。だが確実にアキラのサイズの小さい
体と、そこから発せられているとは思えないほど甘く色っぽいあえぎ声、そして決して嫌
がっていない表情などが加賀を惑わせていた。
「か…加賀君。そろそろ、アンッ! …皆来ちゃうよ?」
快感だと自覚したアキラは先ほどの抵抗とは違い、まるで時間が過ぎるのが惜しいとでも
いうような口調で加賀に忠告する。
加賀は壁の時計を見た。あと30分もすればこの教室にはたくさんの生徒であふれる。残
された時間を冷静になって考えた。ここでやめなければ誰かに見つかってしまうだろう。
だがやめることができるほど加賀は満足していなかった。そしてアキラもまた満足しきれ
ていない瞳で加賀を見つめる。
加賀はアキラを抱き起こした。立たせた瞬間、下着の隙間から碁石がポロッと音を立てて
落ちる。アキラは碁石が落ちないように股間を握ると、加賀に手を引かれて教室をあとに
した。


(7)
教室を出た二人は迷うことなくトイレへと駆け込んだ。アキラを個室に入れると、加賀は
気持ちを落ち着けようとゆっくり鍵をかけた。
振り返ると股間を握って俯いていたアキラが心配そうに顔を上げた。
加賀はアキラの前にしゃがむとその手を優しくどけた。アキラは全く抵抗する気配がない。
それをこれから自分の行うことに合意したのだと受け取ると、加賀はアキラのズボンを脱
がした。アキラはそれを恥ずかしそうに見つめる。するりとズボンが床に落ちる。すると
石が詰まって膨らんだ下着があらわになった。
加賀は息をのんで足の間に手を差し入れると、ゆっくりと太ももを伝いながらそこを握り
締めた。カチャッと冷たく硬い石と石がぶつかる音がする。そしてその硬さの中にむにっ
と柔らかく温かいものがあるのを見つけた。ズボンの上からではわからなかった感触に加
賀の興味は一心に向けられた。
下着へ手を伸ばした加賀は碁石を落とさないようにゆっくりゆっくりと下着をおろす。
徐々に白く透き通るような白磁の肌をもつそこが顔を出す。加賀はそれをまじまじと見つ
めた。しかしアキラにはそれが焦らされたような気がして、早く珍子にさわって欲しいと
ムズムズと腰を揺らした。それと同時にアキラの珍子もぷるんと揺れる。加賀はそれを目
の前にして思わず口にくわえてしまった。
「ヤァッン! 食べちゃやだよ。口から出して」
驚いたアキラは加賀の頭を叩いた。だが加賀はアキラの珍子を味わうように口の中で転が
した。湿った生温かい口腔内に包み込まれる初めての感覚に、アキラはそんな快感がまだ
あったのかと抵抗をやめて感じていた。
ちゅぽんっと音を立てて加賀がアキラのそこから離れる。そして尻や珍子などをなでまわ
しながらアキラの表情をうかがった。アキラは熱い吐息を吐きながら恍惚とした表情で呆
然としている。
「なんかスンゲー気持ちよかったみたいだな」
アキラは顔を赤らめると素直にコクンと頷いた。


(8)
ガヤガヤと話し声がする。生徒が次々に集まりだしたのだ。加賀は急いでトイレから出よ
うとアキラの下着とズボンを一気に引き上げて着せた。
「ちょっ、ねぇ、碁石! まだパンツの中に入ったままだよ」
アキラは取ってとせがんだ。だが急いでいた加賀は、また脱がして着せるのは面倒くさい
と思い、ズボンを履いたままの状態で手を前から差し入れた。わずかな隙間をぬうように、
加賀の手がアキラの下着の中で動きまわる。
「あん! 痛いよぉ…」
窮屈なそこから思うように碁石を掴み取れないことに焦った加賀の手は容赦なく暴れた。
アキラはその手から逃れようと腰を引く。
「やぁっ、加賀君! ぎゅってしちゃやだよ!」
アキラは目に涙をためて訴えた。加賀が碁石と一緒に珍子を掴み取りしたからだ。加賀は
悪いと舌を出して謝った。だがその顔は次第に不気味な笑みを浮かべた。
「だめだ一個しか取れない。もう始まっちゃうし、後で取ってやるよ」
加賀はそう言って取り出した白石をポケットにしまうと外に出ようとした。
「待って。このままはヤダよぉ」
アキラは泣きそうになって加賀を引きとめた。
「我慢しろよ。もう時間ないんだしさ。あとで絶対取ってやるから」
加賀はそう言うとアキラの小さな手を握り、教室へと連れ出した。
アキラは歩く度にカチャカチャと音を鳴らすそこを手で抑えながら加賀の言う通りにした。


(9)
囲碁教室が終わると、アキラは一目散にトイレへ駆け込んだ。加賀もその後を追う。
碁を打ちつつアキラを盗み見ていた加賀は、アキラが顔を赤らめてモジモジしながら碁を
打つ姿をつい見入ってしまった。碁石があたるのが我慢できなかったのか、それともあの
快感が忘れられなくていたのかはわからないが、苦しみに耐えながら非の打ち所のない碁
を打つ姿は加賀を欲情させた。アキラがどのような反応をするか、わざと碁石を取らずに
いた加賀にとってそれは予想以上のものだった。
トイレの個室に入ろうとするアキラに続いて強引に押し入る。するとアキラはおびえた目
で加賀を見上げた。
「約束だ。碁石取ってやるよ」
加賀はそう言うとアキラのズボンに手を伸ばした。
「いい。自分でできる」
アキラはそう言って加賀の手を振り払う。
「何言ってんだよ。さっき約束しただろ。恥ずかしがるなよ」
「ヤダヤダ」
アキラは前かがみになって必死にズボンを守った。
「ヤダって…わがまま言うなよ」
苛立ち始めた加賀は強引にズボンを脱がそうとした。
「ヤダ! もうやめて…、もうやだよ」
アキラはボロボロと泣き出した。それに驚いた加賀は手を引っ込めた。
「もうやだ…。ボク、今日…打っている間ずっと…おちんちんのこと考えてた。こんなの
やだ。ボクもうこんなことやめる」
アキラはそう言って泣き続ける。
「おい泣くなよ」
加賀はどうしたらいいのかわからなくてアキラの頭をなでて慰めた。



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