平安幻想異聞録-異聞- 61


(61)
夜。
暗い灯明のあかりだけをつけて、ヒカルとアキラは寝所の褥の上に座していた。
夜着には着替えず、昼間と同じ狩衣だ。ヒカルの横には、万が一の為の
太刀も置かれていた。
アキラはじっと瞑想するように、目を閉じている。
すっとその目が開かれた。
「来たよ」
ヒカルは、震えだしそうになる肩を必死で押さえた。アキラの前で弱みを見せたくない。
「強い。外の結界を突破された」
アキラがわずかに身構える。
「大丈夫だ。近衛、この部屋にはもっと強力な結界が張ってある。奴は君を
 襲うどころか、気配を感じることさえ出来ないはずだ」
その時、寝所と廊下の間をしきる障子が、スーと開いた。
ニョロリと何かが1匹、その間から顔を出した。
パクパクと開閉する蛭のような口から唾液を垂らしながら、それは鎌首を
ゆっくり左右に揺らしていた。
もはや、蔓などという表現があてはまるモノではなかった。
それは、擦りコギ程の太さになっていたからだ。
「成長してる…」
そうつぶやくヒカルの言葉にアキラが眉をしかめた。
その異形の生き物の首がこちらを向いた。
そして、それは確かに近衛ヒカルを『見た』のだ。
(バカな……!)
ここには相当に強力な結界を張った。本来なら、妖魔のたぐいがここに入るどころか、
中の物を見ることさえ出来ないのだ。
「賀茂……」
ヒカルの声が小さく震えていた。
「動けない」
ヒカルが座った姿勢のまま、顔を蒼白にしていた。
金縛りだ。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル