無題 第2部 61 - 65


(61)
逆に緒方の身体をベッドに引き倒し、緒方の身体に馬乗りになって彼の顔を覗き込んだ。
緒方の上に覆い被さったアキラのバスローブの前がはだけて、そこから覗くほのかに上気
した白い胸元と薄く色づいた乳首が扇情的だ。
そんな緒方の視線を十分に意識しながら、アキラは緒方の唇に唇を寄せた。
緒方のネクタイを外し、ボタンを一つ一つ外して緒方の鍛えられた胸を露わにしていく。
そして首筋から胸元へ、胸元から乳首へと舌を這わせて行く。
そのやり方は緒方がアキラの身体に教え込んだものと同じだ。
自身へ施される愛撫を受けながら緒方の手は自分に跨っているアキラの脚を捕らえた。
アキラの身体がビクッと震え、だがそのまま緒方の乳首に刺激を与え続ける。
それに構わず、緒方の手は内腿を這って上る。
引き締まった臀部を撫で、揉みしだき、更に脇腹へと指を滑らせる。
予想と違う方向へ指がそれたのを恨むようにアキラの腰がひくりと揺れた。
今度は彼の望む方へと谷間に沿って指を滑らせる。焦らしながら緒方の指が行き来するに従って
アキラの口から耐え切れず甘い吐息が漏れ始める。そしてその指がやっと待ち望んだ入口へと
辿り着くとアキラは思わず小さな叫び声を上げた。
その反応を楽しみながら、更に指先で入口を弄り、押し開き、そして少しずつ指先を出し入れする。
緒方が与える刺激に反応して、アキラの緒方への攻撃がおろそかになる。
「どうした?もう降参か…?」
その言葉に反抗するように、アキラは口に含んだ緒方の乳首に歯を立てた。
小さな痛みが甘い痺れとなって緒方の背を駆け抜けた。
そのままアキラは緒方のズボンのベルトに手をかけた。


(62)
なぜか、緒方は苛立ちを押さえ切れなかった。
いや、その苛立たしさは今日最初にアキラに会った時から、ずっと持ち越されていたものかも
知れない。そして昼間のアキラと、夜のアキラとの落差が、その変貌が一層、腹立たしかった。
緒方は起き上がって、アキラを身体の下に押え込み、中途半端に脱がされた衣服を脱ぎ捨て、
アキラを押さえつけて見下ろした。
「おまえがこうしたい相手は本当はオレじゃなくて進藤なんじゃないか?」
アキラは突然正気に戻ったような顔で、目を見開いて緒方を見た。
自分でその名を持ち出しておきながら、アキラの反応に猛烈に腹が立った。
なぜだ?なぜ、その名前にだけ、おまえはそんなに反応するんだ?
「そんな事…考えた事も無い…」
アキラが呟くように言った。
「考えた事も無い?フン、あんな顔でアイツに向かって笑ってみせておいて?
可哀相に、進藤と来たら真っ赤になって逃げて行ったじゃないか?」


(63)
アキラが、それが何なのかわからない身体の熱を持て余していたのは確かだった。
だからこそ、今まではそんな事はしなかったのに、この部屋で彼の帰りを待っていた。
その熱を鎮めたくて。又はそれを煽って燃え尽きさせてしまいたくて。
だがそれは、あれ以来初めてこの男と、この部屋以外の場所で会ったからだと、そのための
熱なのだろうと、アキラは解釈していた。その答を確かめたくて、ここで彼の帰りを待っていた。
それなのに、考えてもいなかった人物の名を出されて、アキラは心底困惑した。
「関係ない…進藤なんか…なぜ…?」
「なぜ、だと?聞きたいのはこっちの方だ。
ついさっきは「緒方先生」なんて他人行儀な呼び方をしておいて、今は何だ?」
唐突に緒方は気付いた。あの「緒方先生」がなぜあんなにも苛立たしかったか。
二人きりの時はわざわざ相手を呼ぶ必要など無いから、気にかけた事もなかった。
だが、昔のアキラの、あの「緒方さん」という、幾分甘えるような呼び声。
あの声を最後に聞いたのはいつだったろう。
「おまえは一体どういうつもりでここに来ているんだ?おまえにとってオレは一体何なんだ?
オレの名を、呼びもしないくせに。おまえにとってはオレは溜まったものを出すためだけの、
ただのセックスの相手か!?」


(64)
怒鳴りつける緒方を、アキラが底光りする目で睨み上げていた。
「…それ以上、何があるの?
教えたのはあなただ。最初に望んだのはあなたの方だ。
それ以上、何があるって言うんだ?それ以上、ボクに何を望むって言うんだ?」
「オレが…おまえに惚れてるのを知ってて、そういう事を言うのか…?」
「それが何?それはあなたの都合で、ボクには関係ない。」
「それが何?関係ない?それがおまえの答か!?
それじゃあ、オレにその気が無いのに抱けとせまるのはおまえの都合だけじゃないのか!?」
アキラは緒方を睨み付けたまま半身を起こした。その目がギラギラと燃え上がるようだ。
「人の都合なんかお構いなしなのはあなたの方だろ?今度はそっちが聞く番じゃないか?
そうだよ、関係ないよ。好きだとか愛してるとか、そんな言葉、要らない。
そんなもの欲しくもない。邪魔なだけだ。
そんな言葉で誤魔化すなよ。そんな言葉でボクを縛るな。そんなもの、要らない。
欲しいのは…」
一瞬、言い淀んで、それから溜まっていた思いを吐き出すように叫んだ。
「言葉なんて要らない。そんなもの、欲しくない。
だから、あんたは何も考えずにボクにぶち込んでりゃいいんだよ!」
思わず緒方はアキラに向かって手を振り上げた。
だが必死の思いで寸前でそれをとめ、怒りに震えながらアキラを見下ろした。
「なぜやめるの?
殴りたんなら殴ればいい。今更それがどうだって言うんだ。
かわんないよ。痛みだって、快感だって、暴力もセックスも、みんなおんなじだよ。
言葉なんか、心なんか、関係ないよ。
殴れよ。ボクが欲しいのはそれだよ。
それでも、それが嫌だって言うんだったら、さっさと続きをやれよ!さあ!」


(65)
「まだ、終わってないよ…!」
ベッドからおりようとする緒方の腕をアキラが捕らえ、もう一方の手を緒方のペニスに伸ばした。
「黙れ、オレに触わるな!オレを何だと思っている?おまえのための道具か!?」
緒方がその手を振り払う。
怒りと憎悪のこもった瞳でアキラは緒方を睨んだ。
それから、アキラは緒方を睨み付けたまま、薄く笑った。
その顔に、緒方は戦慄した。
アキラは緒方を見据えたまま、ゆっくりと手を動かして緒方のペニスの先端を撫であげた。
それからその指をペロリと舐め、上目遣いに緒方を見て唇の端をつりあげた。
そして目を瞑って、自分の唾液に濡れた指を奥部にあてがった。
「んっ…!」
「…アキ……」
十分に敏感になっているそこに指が触れた瞬間、アキラは自分が与えた刺激に声をあげ、
眉を寄せて目を閉じた。
「んんっ…あっ…」
白い顎がのけぞる。そのままアキラは自分の指を内部に押し入れていく。
「ああっ…はぁっ……」
「…アキラ…やめろ…!」
緒方は思わずその光景から目を逸らした。
だがアキラは自分で自分を探りながらその行為に沈み込んでいった。



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