無題 第2部 62


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なぜか、緒方は苛立ちを押さえ切れなかった。
いや、その苛立たしさは今日最初にアキラに会った時から、ずっと持ち越されていたものかも
知れない。そして昼間のアキラと、夜のアキラとの落差が、その変貌が一層、腹立たしかった。
緒方は起き上がって、アキラを身体の下に押え込み、中途半端に脱がされた衣服を脱ぎ捨て、
アキラを押さえつけて見下ろした。
「おまえがこうしたい相手は本当はオレじゃなくて進藤なんじゃないか?」
アキラは突然正気に戻ったような顔で、目を見開いて緒方を見た。
自分でその名を持ち出しておきながら、アキラの反応に猛烈に腹が立った。
なぜだ?なぜ、その名前にだけ、おまえはそんなに反応するんだ?
「そんな事…考えた事も無い…」
アキラが呟くように言った。
「考えた事も無い?フン、あんな顔でアイツに向かって笑ってみせておいて?
可哀相に、進藤と来たら真っ赤になって逃げて行ったじゃないか?」



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