無題 第2部 64


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怒鳴りつける緒方を、アキラが底光りする目で睨み上げていた。
「…それ以上、何があるの?
教えたのはあなただ。最初に望んだのはあなたの方だ。
それ以上、何があるって言うんだ?それ以上、ボクに何を望むって言うんだ?」
「オレが…おまえに惚れてるのを知ってて、そういう事を言うのか…?」
「それが何?それはあなたの都合で、ボクには関係ない。」
「それが何?関係ない?それがおまえの答か!?
それじゃあ、オレにその気が無いのに抱けとせまるのはおまえの都合だけじゃないのか!?」
アキラは緒方を睨み付けたまま半身を起こした。その目がギラギラと燃え上がるようだ。
「人の都合なんかお構いなしなのはあなたの方だろ?今度はそっちが聞く番じゃないか?
そうだよ、関係ないよ。好きだとか愛してるとか、そんな言葉、要らない。
そんなもの欲しくもない。邪魔なだけだ。
そんな言葉で誤魔化すなよ。そんな言葉でボクを縛るな。そんなもの、要らない。
欲しいのは…」
一瞬、言い淀んで、それから溜まっていた思いを吐き出すように叫んだ。
「言葉なんて要らない。そんなもの、欲しくない。
だから、あんたは何も考えずにボクにぶち込んでりゃいいんだよ!」
思わず緒方はアキラに向かって手を振り上げた。
だが必死の思いで寸前でそれをとめ、怒りに震えながらアキラを見下ろした。
「なぜやめるの?
殴りたんなら殴ればいい。今更それがどうだって言うんだ。
かわんないよ。痛みだって、快感だって、暴力もセックスも、みんなおんなじだよ。
言葉なんか、心なんか、関係ないよ。
殴れよ。ボクが欲しいのはそれだよ。
それでも、それが嫌だって言うんだったら、さっさと続きをやれよ!さあ!」



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