平安幻想異聞録-異聞- 64


(64)
まるで、空気そのものが岩のような重さを持って押しつぶしてくるようだった。
「くん……ん…ん……」
アキラの目の前で、単衣の襟や裾からも入り込んだ異形が、ヒカルの上半身に
所構わずとりつき、繊毛でさぐりながらその肌に、吸い付き、吸い上げる。
異形の蛇が垂れこぼした白泥色の淫液が、ヒカルの体を濡らしながら滑り落ちていった。
自分のそばには太刀がある。なのに、たったそこまでの距離、手を伸ばすことさえ、
今のヒカルには出来なかった。金縛り以前に、すでに体に力が入らない――神経が
淫液に侵され、ぞくぞくとするような甘いしびれが体中に広がっていくのがわかった。
魔性の快楽の暗闇に引きずりこまれる。
なおもヒカルの首筋に取りつこうとした異形を、アキラが重い手でつかみ、
引き離そうとする。異形が、鎌首を返し、すでに傷だらけになっているアキラの手に
傷を増やした。生暖かい血が、パタパタとヒカルの顔の上に落ちた。
賀茂アキラの血だらけになった腕が、すでに霞のかかり始めたヒカルの目に写る。
痛々しい、と思った。



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