初めての体験 66 - 70


(66)
 ヒカルが達したことに満足したのか、男はヒカルの身体を仰向けに床に横たえた。
男は、ヒカルの身体を味わうことにしたようだった。
 男の責めにヒカルは翻弄された。舌で両胸の乳首を嬲られた。乳輪に沿って舐められ、
時々、歯をたてられた。突起を下から舐り上げられ、思い切り吸われた。
「ハァン…やめて……あぁん…やだぁ…くふん…」
その間も男の手は、ヒカルの股間の辺りを彷徨っていた。身体を仰け反らせて、ヒカルは
悶えた。
 もう、ヒカルは抵抗しない。縛られたままの腕を頭上に押さえ付けられたまま、快感に
身体をくねらせている。
 男はヒカルの体の中に、様々な異物を挿入してはヒカルを喘がせた。苦しげな、だが、
甘い吐息を、ヒカルは、愛らしい唇から吐き続けた。
 しかし、さすがに、最後に男が手にしたものを見たときは、ヒカルの身体から一気に熱が
引いていった。
「や…なに…それ…?やめて…こわいよ…」
「大丈夫だよ。これ知らないの?ゴーヤーだよ。苦瓜。」
見るからにグロテスクなそれは、今までのものなど問題にならないくらいの大きさだ。
全体にびっしりとついている突起といったら……胡瓜の比ではない。
 「やだ――――――――――!」
男は、悲鳴を上げて逃げるヒカルの腰を押さえ付け、足を大きく開かせた。
「入れるよ。」
と、言うが早いかそのまま一気に突き入れた。
 「うぅ――――――――――!!!」
ヒカルは、激しく顔を左右に振った。涙が飛び散った。
「た…たすけてぇ!」
「ああ!いたっ!やめてぇ…やめてよぉ…ね…おねが…あぁ!」
ヒカルの泣き声が、小屋の中に響きわたる。男が手にした物を動かす度に、ヒカルは
泣き叫んだ。
暫くすると、声はすすり泣きに変わり、やがて、聞こえなくなった。


(67)
 どうやって、家まで帰ったのか憶えていなかった。男が、棋院の近くまで送ってくれた
ことは朧気ながら記憶にあった。
 漸く、家についたとき、両親は寝ないで待っていた。無断外泊をひどく叱られたが、
まるで気にならなかった。
それよりも、男にされたことのショックの方が大きくて―――
 あの男にまた会うかもしれないと思うと、怖くて家から出られなかった。ヒカルは、
何日も家の中で震えて過ごした。



 いくら誘っても来ないヒカルを、アキラは恋しく思っていた。体調が悪くて、
寝込んでいるらしい…。見舞いも断られてしまい、途方にくれた。
――――――進藤に会いたい。
会えないとなると、ますます想いが募る。もちろん、募っているのは恋心
だけではない。
 アキラはパソコンを起動させた。お気に入りのサイトを見るためだ。そこには、
ヒカルのそっくりさんのあられもない写真が掲載されている。裏は更に過激だ。
当然、会員用のパスは、とうにゲット済みである。
「あ…新作案内のメールが来てる…」
慌てて、サイトにアクセスした。
「え…?お…お野菜シリーズって……」
思わず、生唾を呑み込んだ。タイトルだけで、突き上げるような欲望が湧いてくる。
速攻で、購入ボタンをクリックした。

<終>


(68)
 今日は、森下門下の研究会の日、ヒカルは、次の対局相手を誰にしようかと悩んでいた。
さりげなく周囲に目を走らせた。さながら獲物を物色する鷹のようだ。
 しかし、本人は鷹のつもりでも、端からみれば、ヒカルは可愛らしいインコか文鳥くらいにしか見えない。小首を傾げて話しかける様は、まるで愛らしい小鳥が餌をおねだりして甘えているかの様だった。
 そんなヒカルを和谷は見つめていた。
 和谷は、ヒカルと関係をもって以来、すっかり彼に魅了されてしまった。
しかし、ヒカルは一度関係を持った――ヒカルの言うところの対局――相手には、
興味を持たなかった。むろん、例外は何人かいる。
 だが、その相手は、和谷ではなかった。和谷は、ヒカルが様々な高段者に興味を
持っていることを知っていた。ヒカルは強い相手が好きなのだ。
 オレは進藤より弱い――――和谷は切なかった。あの時、ヒカルに悪戯さえしなければ、
こんな思いはせずにすんだのに…。
 和谷が、ヒカルを悲しげに見ていることに気づいて、冴木が話しかけてきた。
「どうしたんだ?和谷。進藤ばかり見て…」
「冴木さんか…何でもねえよ……」
和谷が覇気なく答えた。そして、ふぅっと大きな溜息をついて、俯いてしまった。
そんな和谷を見て、冴木はそれ以上何も聞けなくなった。

 「進藤。」
研究会が終わったとき、ヒカルは冴木に声をかけられた。
「冴木さん…。何?」
冴木は和谷が帰ったのを確認してから、ヒカルに向かって切り出した。
「話があるんだけど…。いいかな?」
ヒカルは、ほくそ笑んだ。『向こうから来たか。』そんな考えをおくびにも出さず、
「いいよ。」
と、零れんばかりの笑顔を返した。


(69)
 研究会の参加者たちが帰る中、冴木とヒカルはそのまま、棋院の対局場に残った。
座ったまま、向かい合う。言いにくそうにしながら、冴木が口を開いた。
「進藤、和谷と喧嘩でもした?」
「してないよ。どうして?」
ヒカルには、冴木の言いたいことの見当はついていたが、とぼけて聞き返した。
「和谷…最近元気がないんだ。溜息ついてお前の方ばかりみているし…。
 だから、喧嘩でもしたのかなって…」
冴木が心配そうに言った。冴木は、ヒカルや和谷にとって頼りがいのある兄貴分だ。
親切で良く気がつく。ヒカルは冴木を好ましく思っていた。
 冴木は、ヒカルを気遣わしげに見つめる。その冴木に向かって、ヒカルが小さく呟いた。
冴木には、その声が聞き取れず、
「え?なんか言った進藤?」
と、ヒカルの口元に顔を寄せた。突然、ヒカルは冴木の首にしがみつき、そのまま、
驚いている冴木にキスをした。
 瞬間、冴木の体が硬直した。ヒカルを引き離そうとしたが、指がうまく動かなかった。
 ヒカルがゆっくりと唇を離して、先ほどの言葉をもう一度繰り返した。
「知りたい?和谷のこと…」
ヒカルが嫣然と笑った。冴木は、驚いた顔で、ヒカルをまじまじと見つめた。


(70)
 ヒカルが、固まったままの冴木にのしかかる。冴木は仰向けに倒された。
「し…進藤?」
冴木は狼狽えたように言う。ヒカルの顔が間近にあった。いつもと違う妖艶とも言える
その微笑みに、冴木の血が熱く滾った。目眩がしそうなくらい色っぽい。
「知りたいんでしょ?和谷がどうしてああなったのか。」
ヒカルは、もう一度、冴木にキスをした。今度はさっきより深く唇をあわせた。
 ヒカルは、冴木を和谷にしたのと同じように扱うつもりだったし、現に冴木はヒカルに
いいように嬲られていた。
 だが、突然、冴木の腕がヒカルの背に回され、そのまま、ヒカルは抱きしめられた。
冴木は、ヒカルの体を強く抱いたまま、くるりと位置を入れ替えた。
 そうして、自分の方から積極的にヒカルの唇をむさぼる。舌を絡ませ、思う様吸い上げる。
 漸く、唇が離れてヒカルは大きく息を吸い込んだ。まだ、鼓動が早い。
「知りたい…進藤…オレにも教えて。」
冴木はヒカルの唇のすぐ側で、そう言うと、ヒカルのTシャツの下に手を這わせた。
「え…?ちょっと冴木さん!?」
ヒカルがびっくりして、起きあがろうとしたのを、体重をかけて押しとどめた。
冴木はクスクスと笑いながら、ヒカルの肌の感触を確かめるように撫で続ける。
「さ…えきさん…?アン…!」
「教えてくれるんだろう?」
悪戯っぽく笑って、冴木が再び、ヒカルの唇を塞いだ。その間も手は絶え間なく、
ヒカルの肌を這い続けた。ヒカルのTシャツを首まで捲り上げて、
「進藤…ここにキスしていい?」
冴木が聞いてくる。ヒカルは、大きな瞳をさらに見開いて、冴木を凝視した。
冴木は、ヒカルの返事を待たずに、チュッと音を立てて、胸にキスをした。
端からヒカルの返事は期待してないと言うように…。そのまま、乳首を舐った。
甘噛みし、軽く吸う。
「んんん…あぁ…やだ」
 自分が主導権を握りながら、冴木を味わう……つもりだったのに…。
 これは…いったい…どういう事?
「ああぁん…やあ…」
ヒカルは、冴木に舌で胸の突起を嬲られ声を甘い悲鳴を上げた。



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