初めての体験 67
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どうやって、家まで帰ったのか憶えていなかった。男が、棋院の近くまで送ってくれた
ことは朧気ながら記憶にあった。
漸く、家についたとき、両親は寝ないで待っていた。無断外泊をひどく叱られたが、
まるで気にならなかった。
それよりも、男にされたことのショックの方が大きくて―――
あの男にまた会うかもしれないと思うと、怖くて家から出られなかった。ヒカルは、
何日も家の中で震えて過ごした。
いくら誘っても来ないヒカルを、アキラは恋しく思っていた。体調が悪くて、
寝込んでいるらしい…。見舞いも断られてしまい、途方にくれた。
――――――進藤に会いたい。
会えないとなると、ますます想いが募る。もちろん、募っているのは恋心
だけではない。
アキラはパソコンを起動させた。お気に入りのサイトを見るためだ。そこには、
ヒカルのそっくりさんのあられもない写真が掲載されている。裏は更に過激だ。
当然、会員用のパスは、とうにゲット済みである。
「あ…新作案内のメールが来てる…」
慌てて、サイトにアクセスした。
「え…?お…お野菜シリーズって……」
思わず、生唾を呑み込んだ。タイトルだけで、突き上げるような欲望が湧いてくる。
速攻で、購入ボタンをクリックした。
<終>
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