失着点・展界編 69


(69)
靴を脱いで上がり、アキラは1歩1歩和谷に向かって歩いて行った。
そして直ぐに、和谷の凄まじい程の戦意を感じ取った。殺気と言ってもいい。
…何だ?こいつ…、
うかつに近寄ってはならない、アキラの中の本能がそう警告している。
距離をおいて二人はしばらく睨み合っていた。次々とやって来る対局者達が
怪訝そうに見やりながら対局室に入って行く。
その人の波が途切れ、その場に二人きりになった時、アキラから口を開いた。
「…和谷くんだよね。プロ試験の時とか今までも何度か会っているけど、
…改めて、今日はよろしく。」
和谷は返事をしなかった。ただじっとアキラを睨み据えている。
「…宣戦布告と受け取っておくよ。」
アキラが和谷の前を通り過ぎ対局室に向かおうとした時、和谷の口が動いた。
「…しばらく進藤と寝ていないだろう。」
アキラの足が止まった。
「…オレがあいつに言ったんだよ。もう塔矢アキラとは寝るなって。」
アキラはしばらくその場に立ったまま動かなかった。その背に和谷は続ける。
「…おまえに進藤は渡さない…。」
アキラがゆっくりと振り返り、和谷を睨みすえる。
その時ヒカルが玄関のところに入って来た。ヒカルは睨み合う二人に
気がついて慌てて身を潜めた。
「遅かったな、進藤。」
玄関脇のところで二人を離れて見ていた伊角が立っていた。
「…始まるぞ。」



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル