初めての体験 69 - 70
(69)
研究会の参加者たちが帰る中、冴木とヒカルはそのまま、棋院の対局場に残った。
座ったまま、向かい合う。言いにくそうにしながら、冴木が口を開いた。
「進藤、和谷と喧嘩でもした?」
「してないよ。どうして?」
ヒカルには、冴木の言いたいことの見当はついていたが、とぼけて聞き返した。
「和谷…最近元気がないんだ。溜息ついてお前の方ばかりみているし…。
だから、喧嘩でもしたのかなって…」
冴木が心配そうに言った。冴木は、ヒカルや和谷にとって頼りがいのある兄貴分だ。
親切で良く気がつく。ヒカルは冴木を好ましく思っていた。
冴木は、ヒカルを気遣わしげに見つめる。その冴木に向かって、ヒカルが小さく呟いた。
冴木には、その声が聞き取れず、
「え?なんか言った進藤?」
と、ヒカルの口元に顔を寄せた。突然、ヒカルは冴木の首にしがみつき、そのまま、
驚いている冴木にキスをした。
瞬間、冴木の体が硬直した。ヒカルを引き離そうとしたが、指がうまく動かなかった。
ヒカルがゆっくりと唇を離して、先ほどの言葉をもう一度繰り返した。
「知りたい?和谷のこと…」
ヒカルが嫣然と笑った。冴木は、驚いた顔で、ヒカルをまじまじと見つめた。
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ヒカルが、固まったままの冴木にのしかかる。冴木は仰向けに倒された。
「し…進藤?」
冴木は狼狽えたように言う。ヒカルの顔が間近にあった。いつもと違う妖艶とも言える
その微笑みに、冴木の血が熱く滾った。目眩がしそうなくらい色っぽい。
「知りたいんでしょ?和谷がどうしてああなったのか。」
ヒカルは、もう一度、冴木にキスをした。今度はさっきより深く唇をあわせた。
ヒカルは、冴木を和谷にしたのと同じように扱うつもりだったし、現に冴木はヒカルに
いいように嬲られていた。
だが、突然、冴木の腕がヒカルの背に回され、そのまま、ヒカルは抱きしめられた。
冴木は、ヒカルの体を強く抱いたまま、くるりと位置を入れ替えた。
そうして、自分の方から積極的にヒカルの唇をむさぼる。舌を絡ませ、思う様吸い上げる。
漸く、唇が離れてヒカルは大きく息を吸い込んだ。まだ、鼓動が早い。
「知りたい…進藤…オレにも教えて。」
冴木はヒカルの唇のすぐ側で、そう言うと、ヒカルのTシャツの下に手を這わせた。
「え…?ちょっと冴木さん!?」
ヒカルがびっくりして、起きあがろうとしたのを、体重をかけて押しとどめた。
冴木はクスクスと笑いながら、ヒカルの肌の感触を確かめるように撫で続ける。
「さ…えきさん…?アン…!」
「教えてくれるんだろう?」
悪戯っぽく笑って、冴木が再び、ヒカルの唇を塞いだ。その間も手は絶え間なく、
ヒカルの肌を這い続けた。ヒカルのTシャツを首まで捲り上げて、
「進藤…ここにキスしていい?」
冴木が聞いてくる。ヒカルは、大きな瞳をさらに見開いて、冴木を凝視した。
冴木は、ヒカルの返事を待たずに、チュッと音を立てて、胸にキスをした。
端からヒカルの返事は期待してないと言うように…。そのまま、乳首を舐った。
甘噛みし、軽く吸う。
「んんん…あぁ…やだ」
自分が主導権を握りながら、冴木を味わう……つもりだったのに…。
これは…いったい…どういう事?
「ああぁん…やあ…」
ヒカルは、冴木に舌で胸の突起を嬲られ声を甘い悲鳴を上げた。
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