トーヤアキラの一日 7
(7)
アキラは夢中でヒカルの喉の奥に舌を伸ばそうとしている。ヒカルはあまりの苦しさに右手で
アキラの背中を思い切り叩いた。
それでもアキラはやめる様子を見せない。鼻で息を継ごうとするが、上から思い切り圧迫されて
うまく行かない。本当に息が出来なくて苦しくなったヒカルは、右手でアキラの肩を掴むと足も
使って、思い切り体ごと突き飛ばした。
華奢に見えるヒカルだが、元々はスポーツが得意な元気少年である。アキラの方が多少背が高い
とは言え、本気で力を出せば、アキラに負けるわけは無いのである。
「バカッ!!」
起き上がったヒカルは、掠れた声でそう叫ぶと、胸に手を当てて激しく息を吸い込む。
突き飛ばされて後ろに尻餅をついたアキラもまた、はぁはぁと息をしながら呆然としている。
やっと酸素を補給したヒカルが、アキラを睨みつけながら大声を上げる。
「殺す気かよ!!お前っ!!息出来ねぇだろ!!」
そのヒカルの声でやっと我に返ったアキラは、情けない顔で呟く
「ご、ごめん・・・・・ボクは・・・ただ・・」
「ただ、なんだよッ!!何するつもりだったんだよ!!」
「ただ・・・キミの喉の奥に触れたくて・・・」
「えっ??何だよそれ、ふざけんなよ!!」
「ごめん・・・・・・」
ヒカルの強い口調に、アキラは泣きそうな顔になって自分のした事の言い訳をする。
「・・・キミの食べてる姿が可愛くて・・・でも、喉仏がイヤらしく動くから、つい触れてみたくて・・・・・
キミを苦しめるつもりなんて無かったんだ。ゴメン。本当にごめん」
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