Birtday Night 7
(7)
あれから進藤はボクに積極的にアプローチをかけてきた。
でもボクは正直なところ、そんな進藤に戸惑っていた。
今まで囲碁以外のことに興味を持ったことはなかったし、恋愛なんてしたことないし。
進藤の気持ちはイヤではなかったけれど。
ボクの心は曖昧で、恋と友情の境界線が分からなくて。
それに――人の気持ちは変わるものだから。
たとえボクが進藤を好きになったとしても、今度は進藤のほうがボクを好きでなくなるかもしれない。
そう思うと、よけいに、ボクは自分の気持ちに答えを出せなくて。だけど。
「………」
今、この胸の中に芽生えた感情。
泣きたくなるほど温かい、ボクの心を満たしていくモノ。
――進藤に触れたい、と思った。
もっともっとキミのことを知りたい。キミの気持ちを確かめたい。
顔を上げた。進藤がボクを見つめていた。
…信じてもいいの?キミはボクを見捨てたりしない?
もしいつか碁を打てなくなっても、キミはボクを好きでいてくれるだろうか。
ゆっくりと瞳を閉じる。
くちびるに温かい感触が下りてきた。
初めてのキスは心を溶かすように温もりが伝わってくる……。
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