戻り花火 7
(7)
「・・・今日は、付き合ってくれてありがとう」
「いーよ。・・・オレもこの時季に花火が出来るとは思わなかったしな」
そう、アキラがまた花火を買っていたことさえ知らなかったのだ。
「先に上がっていてくれ。ボクはこの水を流したら戻るから」
小さな青いバケツを軽く持ち上げて見せながらアキラが言ったので、
「あぁ、」と頷いて縁側から家の中に上がり込んだ。
月明かりだけが差すひっそりとした廊下を渡り障子を開けたそこは、かつて二回――
日数にすれば数日間――ヒカルが泊まったことがある部屋だ。
一人ではなかった。
いつも社が隣に布団を並べていた。
北斗杯前夜も、その後夏にこの家に滞在した時も、夜はこの部屋で社と二人で眠った。
そうしてヒカルがこの部屋に泊まった一番最後の夜には、そこにアキラが加わって
三人になっていた。
「・・・進藤。どこにいるんだ、進藤」
電気を点けていなかったから、ヒカルがどこにいるかわからないらしい。
自分の名前を呼びながら月明かりの廊下を渡ってくるアキラを、ヒカルは不意打ちのように
部屋に引き入れ抱きすくめた。
外で肩を触れ合わせている間は想像することしか出来なかったアキラの温もりを腕の中に味わう。
「しんど・・・」
瞬時に身を強張らせたアキラの唇に噛みつくようなキスをする。
アキラがそれに驚いて気を取られている隙に、ヒカルはアキラの体を宙に浮かせるようにして
部屋の隅まで移動した。
そうしてそこに畳まれてあった布団の上にアキラを投げ出すと、覆い被さって股間に手を入れ
激しく揉みしだき始めた。
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