無題・番外 7


(7)
翌朝、緒方を襲ったのは激しい頭痛と後悔だった。
「おい、芦原、昨夜の事は…」
「ハイハイ、言いませんよ。誰にも。
天下の緒方十段が失恋してヤケ酒飲んで酔いつぶれて寝ちゃったなんてことはね。」
アキラの事がバレなかっただけでも安心すべきなんだろうが…
こんなつまらない事でコイツに弱みを握られてしまうとは…。
二日酔いでズキズキと痛む頭を抱えて、緒方はそう思った。
「でもね、緒方さん、もう若くもないんだから、ヤケ酒もいい加減にしといた方がいいですよ。」
にっこりと無邪気な笑顔で、芦原は、だが更に緒方を打ちのめしたのだった。

−終−



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