少年王アキラ? 7


(7)
 しかし、他の者なら震え上がるような少年王の独裁ぶりも、もともと父王に仕
えていたオガタンにはあまり影響を与えない。ゆるくかぶりを振って、オガタン
は溜息を吐いた。
「キミは一体どんな神経をしてるんだ。人がどれほど今日という日をナイーブに
過ごしているか――」
 オガタンはそこで絶句すると、壁に表示される時間を確認し、意外なことに
「ぎゃっ」と短く叫んだ。
 ナイト兼少年王主治医兼愛玩具のオガタンにしては、あまりにも酷い叫び声だ。
少年王は自分の耳を疑ってしまった。
(なんだ、今の声は)
「しまった、オレとしたことが」
 少年王がどこから聞こえてきた声なのかと周囲に鋭い視線を張り巡らしている
うちに、オガタンはパソコンの前に素早く移動し、閉じていたウィンドウを全て
開いていく。ついでに隣のノートパソコンにも電源を入れた。
「クソ、もうすぐあっちは11時か。オレの票がどのくらいあるのか判らん……。
王子、キミもパソコンを持っていただろう。パスワード入力は出来るな?」
 オガタンの通常とは違う様子に好奇心を引き出されたのか、ハマグリゴイシか
ら飛び降りた少年王はオガタンの肩越しにパソコンの画面を覗き込む。
「パスワードはakiraだ」



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