pocket-sized Xmas 7


(7)
でも、アキラたんは大きくならなかった。
落胆してるだろうにアキラたんはぴょこんと跳ね起きて、微笑んでみせた。
「英治さんの靴下、破かないで済んだみたいです。
ボクのわがままで貸していただいて、ありがとうございました」
「いいよ。靴下一枚で寒くなかった?」
「とっても暖かかったです。下に色々、していただいてましたから・・・」
アキラたんが寒くないように湯たんぽの上にタオルを巻いて、
その上でアキラたんは寝たのだ。
「そっか。それじゃアキラたん、ゴハンにすっか!デザートに昨夜のケーキ食べよ」
「はいっ!」

いつもどおりアキラたんを胸ポケットに入れて台所に向かう。
心臓の上から俺を温める小さな温もり。
アキラたんがちさーいままだったのは可哀相だけど、
夢の中みたいにアキラたんがいなくなったわけじゃなくて本当によかった。
そら夢の中の普通サイズのアキラたんも魅力的だったけど、
一年で一番セクース人口が多いというイブの夜だって何もしないし出来ない俺たちだけど、
それでもやっぱり俺にはこの子が一番だし。
半熟卵の上に塩を振って、湯気の立つ麦茶の上に砂糖を落とす。
赤味がかった液体の中で砂糖の粒子が跳ね上がっては溶けていく様子を、
テーブルの上に降りたアキラたんがマグカップの縁に手をかけてしげしげと眺めている。
「じゃあ、食べようか」
「はいっ。いただきます!」


朝食が済んでケーキを食べたら、内緒で用意したプレゼントをアキラたんに渡そう。
そうして俺にとっては、
小さくても大きくてもいい。
優しい君と今日も一緒にいられることが、何よりのクリスマスプレゼント。
                                           <終>



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