Shangri-La 7


(7)
ヒカルは、買い出しのため久しぶりに病院を出た。
携帯の電源を入れると、留守電もメールも随分たまっている。
殆どがアキラからのものだった。
留守電は、始めは、連絡が欲しい、とだけあったのが、
日が経つに連れて言葉が長くなり、語調もだんだん乱れている。
ヒカルは思わず苦笑いした。

と、携帯が鳴り、ヒカルは条件反射で受けた。
「もしもし、進藤?」
「あ…塔矢?」
「進藤、しばらくサボっているそうじゃないか?どうした?
イベントだって、急にキャンセルしたりして!
どれだけまわりに迷惑かかるか考えなかったのか?
ボクが代わりに行ったからいいようなものの!」
アキラの声はどんどん大きくなり、ヒカルは思わず携帯から身を反らす。
「あ、うん、ごめん……あの、いろいろあって…」
「いろいろって、何だ?」
アキラはさらに興奮している様子で、息つく暇なくまくし立てている。

ヒカルは、携帯を耳から避けてアキラの声を遠くに聞きながら
どっと疲れを感じていた。
そして、アキラの声がたまらなくなり、黙って携帯の電源を切った。



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