アキラとヒカル−湯煙旅情編− 7
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一息ついている間に食事が運ばれてきた。
「アレ、料理が違うね。」筒井が不思議そうに見比べる。
「あいすみません、それぞれお部屋によって内容が変わってきますので。」
つまりは宿泊代が高い部屋にはそれなりの料理がつくということらしい。ヒカル達の料理には蟹、海栗、伊勢海老、牛タンなどが余分に付いており、筒井達のに比べると明らかに豪華で見栄えがする。
「じゃあ、じゃんけんで決めるか。」と加賀。
「何言ってんだよ、蟹はぜってーやらねえぞ。」ヒカルは自分のお膳の前に陣取った。
「ボクのあげるよ。」アキラは料理を筒井と加賀に取り分けている。
「進藤、まだ食うなよ。」加賀の釣った岩魚も運ばれてきた。仲居が釜に火を付けて下がると加賀はなにやら紙袋から取り出した。
「ちょっ、加賀、いつの間に。」
紙袋からはビールやら日本酒やらが出てきた。
「久しぶりの再会だからな。」加賀はグラスにビールを満たした。
「自分が飲みたいだけのくせに。」筒井がビールをチラッと舐めるが、苦い、といって顔をしかめる。
「おまえはこれでも飲んでろ。」加賀がペットボトルのお茶を差し出す。
「んじゃ再会を祝して、乾杯。」
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