誘惑 第三部 7


(7)
玄関のチャイムが鳴るのが聞こえて、ヒカルの身体がビクッとふるえた。
何を考えているんだ。今、あいつの事を考えていたからって、あいつがうちに来るはずがないだろう?
バカな事、考えるな。大体、来るなって言ったのはオレなんだ。それだって、もうずっと前の話だ。
「はーい、」と言いながらお母さんが玄関へ向かう。ドアを開ける音がする。
ひさしぶりね、とか何とか客と話している声が聞こえる。
ほら、あいつのはずがない。近所の人かな。こんな時間に、珍しい。

「ヒカル!」
玄関からヒカルを呼ぶ母親の声がした。
ヒカルの手が止まる。
「ヒカル、塔矢くんよ。」
一瞬、心臓が脈打つのを忘れた。そして次の瞬間には激しく暴れだした。
スプーンを持った手が震えているような気がする。
「ヒカル?」
母親が食卓へ戻ってきてもう一度ヒカルに声をかけた。
「塔矢くん待ってるわよ、どうしたの?」
「う、うん、なんでもない。今行く。」
声が震えそうになるのを必死で押し隠して、ヒカルは腰を上げた。
なぜここへ。何しに。今更。



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