平安幻想秘聞録・第三章 7


(7)
「えー、嘘だろ!?」
「嘘だと、私も思いたいのですが」
「・・・はぁ(ため息)」
 行洋からの使者と文は、三者三様の反応をもたらしていた。
「賀茂!お前も嘘だって思うだろ?」
「だが、わざわざ藤原行洋さまが偽りの文を寄こすとも思えない」
「でもさぁ」
 ヒカルがあまり大声で嘘と連呼するものだから、行洋からの文を携え
て来た従者(ずさ)の頬がピクピクと引きつっている。だが、今はそん
なことを気にしている場合ではなかった。
 達筆過ぎてヒカルには読めない文には、近衛光の生還をお聞きになり、
帝がすぐに参内するようにと仰せられている。しからば、とりもとりあ
えず早急に参上されたしと書かれているらしい。
「近衛って、帝と会えるような身分じゃないんだろ?」
「それは、光が京の妖しを倒すのに一役買った、功労者だからですよ」
「京の妖しって、佐為と賀茂と一緒にやっつけたっていう、桑原のじー
ちゃんそっくりな妖怪のことだよな?」
「えぇ」
 平成の世での、いや、桑原本因坊は昭和生まれだから、昭和の世なの
かはともかく、どこか得体の知れないところのあるかの老人が、妖怪だ
と聞かされてもヒカルは驚かなかった。千年も昔の幽霊であった佐為を
ありのままに受け入れていただけはある。
「どうしても行かなきゃダメなのか?」
「そうですね。この文によると、光のことを耳にして、当初、帝はたい
そうご立腹だったそうですから」



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