平安幻想異聞録-異聞-<水恋鳥> 7


(7)
声を飲み込むために頼るものを失って、もどかしげに尾を震わすヒカルの喘ぎが、
庵に満ちる。
そして、もうそろそろ。…そろそろ、こんな時にいつも、ヒカルはふいに冷めた
表情をする。だが佐為は、今日は、そんなふうにヒカルが我にかえる隙を与える
つもりはなかった。
ヒカルがふと閉じていた目を開ける。奇妙に理性の戻った瞳で自分を見上げる
その瞬間をとらえて、佐為は、それまで焦らし続けていた責め手を変えて、
初めてその自身のモノの尖端で、ヒカルの内壁の一番敏感な部分を強く突き上げた。
「あぁあぁぁぁぁーっ」
激しく上下にヒカルを揺すり、敏感なそこを責め続ける。
「ひんっ、あぁぁぁ、あぁぁぁ、ひあぁぁ!」
焦らされ続けて過敏になったヒカルの体が、常以上に強く快感を体の中で
反響させているようだった。
ヒカルの、今は焼けだたれたように熱をもった狭道の肉が、佐為を押し巻いていた。
そこは佐為が押し入ろうとすると、かたくなに反発して押しもどすくせに、
引いていこうとすると、今度は奥に引き戻そうとする。
ヒカルに快楽を与えてやろうとするつもりが、自分の方が常より遥かに
強い快楽をヒカルに与えられていた。
すぐに達してしまわないように、佐為は気を散らそうと、胸に抱き留めたままの
ヒカルの指を舌で舐めて、愛撫する。
最も自分の感じやすい性感帯のひとつを刺激されて、ヒカルのよがり続ける声が、
さらに艶の深さを増した。



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