金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 7
(7)
和谷の所での若手棋士の研究会。そこにヒカルは毎週顔を出している。院生時代の仲間の
伊角や本田、越智、それから足立、小宮、奈瀬達院生、森下研究会の冴木、一般からプロになった
変わり種の門脇など、メンバーは多彩だ。今日は、そのうち六人が顔を出していた。
研究会では、真剣にかつ賑やかにお互い活発な意見を交換していく。それが少々ヒートアップして、
ケンカになることもしばしばだが、それもご愛敬だ。
ケンカになる面子は大概決まっていて、ヒカル、和谷、越智などで、他のメンバーはそれを
仲裁するのに大わらわだ。
だけど、大人組は彼らが可愛くて仕方がないらしい。研究会の後はいつもお楽しみがあるのだが、
それはヒカルや和谷達にとっても大きな楽しみだった。
「ねー門脇さん。それ、ちょこっとだけ飲ませて?」
小首を傾げて、ヒカルに可愛くおねだりされると、嫌とは言えない。それでも一応、形だけは拒んでみせる。
「ダメダメ!未成年はダメ!…それに、酒に弱いんだろ?」
「でも、ちょっとだけ…ちょっとだけだから…大丈夫だよ。ね?」
両手を前ですりあわせて、ウインクされたらもうダメだ。
「しょうがないな…ちょっとだけだぞ。」
苦笑しながらヒカルに缶ビールを差し出すと、ヒカルは「ヤッター!」と、喜んで受け取った。
|