七彩 7


(7)
「てめぇいい加減にしろよ、坊主。若先生がこうだと言ったらこうなんだよ、
認めやがれ」
「口出さないでくれよ。これはオレ達の検討なんだから。それにオレは塔矢の
言ってること否定してるわけじゃないだろ。ただ、他のやり方もあるって
言ってるだけじゃんか」
「なんだと!?偉そうな口叩くんじゃねえよ、このガキが!」
「ガキでもオレはプロだ!囲碁にはオレも信念がある!」
「・・・ガキ、表に出ろ!口の利き方ってもんを教えてやる!」
ヒカルの胸座を掴み上げる北島の激した様子に、市河や他の客達も慌てて
割って入った。
「まあまあ北島さん、落ち着いて。相手は子供なんだから」
北島は周囲のとりなしにしぶしぶながらも引き、捨て台詞をヒカルに残して
面白くなさそうに自分の席に着いた。
「・・・・・・」
アキラは俯いているヒカルを見詰めた。ヒカルは厳しい顔で碁盤を睨んでいる。
その後、二人は検討を終えて店を出た。本当はもう一局打ちたかったアキラ
だったが、あんなことがあった後ではさすがに空気が悪い。ヒカルを責める気は
無いが、今日は残念だったとアキラは思った。その日の帰り道、ヒカルは無口
だった。いつもそうだ。碁会所の客と揉めた日のヒカルは無口になる。
(もっと気を遣ってくれてもいいのに)
自転車の荷台に乗って夜の空気に身を切られながらアキラはつまらなく思う。
二人きりの時沈黙するなんて、ヒカルは相手に対しての気遣いというものが
欠けている。



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