りぼん 7


(7)
居間の座卓には、すごい豪華な料理が並べられてた。
でも部屋の雰囲気にちっとも合ってない。だってここは和室なのに、料理は洋風だったから。
でっかい鳥の肉、湯気をたててるシチュー、きれいな色のサラダ、数種類のパンにチーズ、
他にもいっぱいある。どれもこれもおいしそうだ。
だけどコレ、どうしたんだ?
「まさかオマエがつくったんじゃないよな?」
「嫌味か、それは」
そうだよな、そんなはずないよな。オマエの料理の腕前はオレが一番よく知ってる。
「レストランに注文したんだ。コースにしようかと思ったけど、それよりもキミの好きそう
なのを選ぶことにした。ちょっと統一性が無いけどいいよね」
いいも何も、オマエ、今日は自分の誕生日だろ? 自分の好きなの頼めよ、まったく。
って言うかさ、塔矢……。
「オマエ、最初からオレを家に連れ込む気だっただろ」
「連れ込むだなんて人聞きの悪いことを言わないでくれ。まあ準備はしてたけど。ハイ」
塔矢はなんか高そうなグラスを差し出してきた。
すらっと細長くて、ガラスも薄くて、力を入れたら簡単に割れちゃいそうでコワイ。
ボトルを取り出すのを見てオレはびっくりした。おいおい、酒を飲む気かよ。
ラベルは横文字でいっぱい埋め尽くされている。英語、苦手なんだよな、オレ。
えーと、ちゃむぱぐね? ぐらんど、くる? でみ、せく? 
わけのわかんない文字の羅列だ。他にも書いてるけど、読む気なくす。
「……なんのお酒だよ」
塔矢がくすくす笑った。ヤなカンジだな。
「シャンパンだよ。ボクはお酒のことはよく知らないけど、甘口だってお店の人が言ってた
から、飲みやすいと思うよ」
「オレたち未成年だぜ」
「固いことを言うなよ、進藤」
ふだんはメチャクチャおかたいヤツがなに言ってんだ。けど、これ高そうだよな。
こいつのお金で買ったんだよな。もしかしたらオレ、塔矢のお金を食べちゃってるのかも。
そうだよ、こいつの対局料、絶対オレの腹ん中に消えてるよ。



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