初めての体験 Asid 7
(7)
ボクは、振り返って和谷の側に膝をついた。泣いている彼に向かって、微笑みかける。
「冗談だよ。いくら何でもこのまま放っておくわけないじゃないか…。」
彼にそう言った物の冗談半分、本気半分だ。彼が懇願しなければ、ボクはあのままここから
立ち去っていた。身体の自由が利かない、裸の彼をそのまま置き去りにして―――――ね。
和谷は、非難と恐怖と、そして快感の入り交じった潤んだ瞳でボクを睨んだ。その紅く
染まった目元が色っぽくて堪らない。何とも思っていない和谷に対してさえ、こんな感情を
抱くのなら、進藤が相手ならボクはどうなってしまうのだろう。
血と精液に汚れた和谷の下半身を、ハンカチで丁寧に拭ってやった。下着とズボンを
きちんと履かせ、まくり上がったTシャツも整えた。和谷は逆らわず、その間ボクに
身を任せていた。
苦痛に呻く和谷を座らせ、後ろにまわった。手錠を外すためだ。彼の手は、傷だらけに
なっていた。暴れたせいだろう。そうか…直接、かけるとこういう可能性もあるわけだ。
ボクの知識はまた一つ増えた。
とりあえず、和谷のお陰で、ボクの気分はすっきりした。和谷は、まだ泣いていたけど…。
「楽しかったよ。機会があれば、また遊ばないか?」
これは、冗談だ。ボクは、和谷の気持ちを和らげようとにっこり笑った。
和谷は真っ青な顔で、怯えて、尻で後ずさった。笑ったつもりなのに…失敗したか?
まあ、いい。どのみち、彼とこれ以上関わる気はない。別の玩具も試してみたかったけどね。
相手は、誰でもいいんだし。他にもチャンスはあるだろう。
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