初めての体験 Aside 番外・ホワイトデー 7
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そうか!やっぱり進藤が作ったんじゃなかったんだ!どうも、気が乗らないと思ったら、
進藤が可愛い手で“こねたり”“ねったり”“丸めたり”していなかったせいなんだな。
ボクの進藤センサーに狂いはなかった!
「でも、型はオレが抜いたんだぜ。」
ふうん………この可愛い型は進藤が抜いたのか………そう思うと突然愛しくなってくる。
けれど―――――ボクは星形のクッキーを手の中で弄びながら
「でも、ボクは焦げててもいいから、進藤に作って欲しかったな……」
ぽそりと呟いた。本当に小さな呟きだったのだが、その言葉を進藤が聞きつけて、
「えぇ!でも………………じゃ、今度、がんばってみる………」
と、頬を染めてボクに負けないくらい小さな声で囁いた。
なんだか、また、ピンクとレモン色の雰囲気が漂い始めたので、ボクは慌てて話題を変えた。
「進藤、今日のその服すごく似合っているね!」
進藤は新しいパーカーを着ていた。明るいオレンジ色は元気な進藤にぴったりだ。
「ホント?オレも気に入ってるんだぁ。」
彼はボクによく見えるように、両手を広げた。うん…本当によく似合っている。今度、それに
あう靴をプレゼントしよう。
今日はとてもいい日だ。ケーキを幸せそうに頬張る進藤を見て、ボクはしみじみと幸せを
噛みしめた。
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