失着点・展界編 7
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まるでその包帯に引き寄せられるように、ヒカルは和谷と共にアパートの
階段を上がった。
「っ痛…」
和谷は包帯の右手でカギを開け、ドアノブを回す。
「和谷、その手…」
「ああ?別に何でもねーよ。」
和谷はドアを開けると、ヒカルに先に入るよう顎で促した。
ヒカルは半分警戒しながらも、半分それでも和谷の事がほおっておけなくて
部屋に入った。それなりに話をするつもりなら、やはり早い方が良い。
和谷はドアを閉め、…静かにカギをかけた。
ヒカルは部屋の中が意外に片付いていることに少しホッとした。
だが、木製の押し入れのドアを見て息を飲んだ。5〜6箇所、拳でぶち抜いた
ような穴が開いていた。それ以外にも血がついたヘ込みが数カ所あった。
「和谷、もしかしてこれ…」
ヒカルが振り向いたと同時に、ヒカルの唇が和谷の唇で塞がれた。
「…!!」
ヒカルはそのまま強い力で床に押し倒され、和谷に唇を貪られる。
ヒカルは必死で歯を食いしばって和谷の舌を拒み和谷を押し退けようとした。
それでも一足先に成長期を迎えた和谷の方が体重もあり腕力も勝っていた。
和谷はヒカルの顎を掴んで乱暴に振り、口を開けるよう迫って来る。
ヒカルは頑に拒絶すれば、返って和谷の興奮を増長させてしまうと思い、
体の力を抜いてわずかに口を開けた。
「…和谷、ちょっと落ち着いて…」
言葉を続けさせないようにするかのように和谷の舌が奥まで侵入して来た。
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