S・W・A・N 7 - 8


(7)
このままでは体に悪いだろう。
何としてもアキラに帰ってもらって出すべき物を出してしまいたい。
「アキラ君」
「ボクがここにいると、困ります?」
「ああ。だから、しばらくあっちに」
「そうか、困るんだ・・・そんなこと言われると、もっともっと困らせたくなっちゃう・・・」
「あ、アキラくん?」
「開けてくれないなら、ボクここでドアに耳をつけていますから。
緒方さんの音、ちゃんと聞かせてくださいね」
「お、おい」
外側から換気が止められた。
「緒方さんの後って、どんなにおいがするのかな・・・」
「アキラ君!まだ十代の子供のくせに、そんな変態みたいなことを考えなくてもいい!」
「変態みたいなことをボクに教えたのも緒方さんじゃありませんか!
今日だってボクにこんなもの穿かせて、あんな恥ずかしいことさせて・・・
それに、ボクのことを好きならボクに恥ずかしいことさせるばっかりじゃなく、
ボクにも緒方さんの恥ずかしい所、見せてください・・・」
それはもっともな言い分という気もする。
だがそれとこれとは話が別という気もする。
とにかくアキラにそこにいられては、健康的な排泄行為が阻害されてしまうのだ。
「なあ、・・・頼むよ」
「・・・お願い・・・」
逆に儚げな声で頼まれて、緒方はついに降参した。


(8)
げっそりとなってトイレから出てきた緒方にアキラは大輪の花のような笑顔で言った。
「今度する時はボクも中に入れて、見せてくださいね!」
「毎回これじゃ、オレの身が保たないぜ」
「すぐ慣れますよ。ボクだって緒方さんに色々されるの、すぐ慣れちゃったし」
「だがなあ、これは健康に関わる問題だぞ。今もオマエが外にいると思ったら、
半分くらいは引っ込んじまった」
「それじゃ、この間見せてくださったビデオの中に看護服の女性が患者さんを浣腸する
場面があったじゃありませんか。あれだったら嫌でもお腹がゆるくなりますよ。
ボク、次はあれやってみたいなぁ」
刺激的な格好のままでうきうきとベッドに戻るアキラの後ろ姿を見て、
それもこれも自分が教え込んだこととは言え何故こんなことになったのかと
溜め息をつきながら、
そう遠くない将来に自分が浣腸器具ととアキラに似合いそうな白いナース服と、
リボン付きの箱に入った純白の白鳥のおまるとを買って帰る姿が、
鮮やかに緒方の目の裏をよぎって消えた。
                                     <終>



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