敗着 7 - 8


(7)
ヒカル自身、男同士の行為を何と言って良いのか分からなかったが、
「塔矢に、手を出すな!」
その感情だけは確かだった。
「フッ」
クックックと笑い「何を言い出すかと思えば・・・」
本気なんだよ─
こぶしを握り締め見据える。
「直接、アキラに言えばいい。オレと寝るなと」
「お前がムリヤリ・・・!」
「無理矢理ねぇ・・・」
ヤレヤレ、と立ち上がるとこちらに手を伸ばす。
「15の純情、か?」
さも可笑しいように目を覗き込み、
(ガキが)と心の中で毒づく。
大体が、アキラは名人の息子で、ちょっと遊んだだけで、
進藤に突っ掛かられるいわれもない。
何より女には不自由していない。
(これだから子供は面倒くさい)


(8)
「なら、お前がアキラの代わりをするか?」
「・・・っ・・・」
急に顔つきが変わる。
さっきまでの威勢はどこへやら。
「オレはどちらでもいい」
─水槽の中で魚が翻る。
ヒカルは突っ立ったままじっとしていた。
(これでおとなしくおウチに帰るだろう)
一服しようと思った時
「それで、塔矢とは、」言葉を探し、
「塔矢には手を出さないんだなっ」
一瞬緒方はヒカルを見たが、「おや」という表情をしただけだった。
(お前ねぇ・・・)
心の中で苦笑すると
「・・・じゃあ服を脱げ」
(どこで怖気づくか。ったく、近頃のガキは)
ヒカルは少し俯いてから、緒方に背を向けるとボタンに手をかけた。
「海王の制服もいいが、オレとしてはこっちの方が─」
言いながら詰襟の後ろに人差し指を掛け、クイと引き
バシッ
思いきり手で払いのけられ、キッと睨みつけられる。
緒方は「おーこわ」というように両手を軽く上げポーズをとり、
それからドカリと椅子に腰掛けると、
煙草に手を伸ばした。



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