隙間 7 - 8


(7)
緒方とこんな関係に陥った原因が佐為の喪失にあるとは言え、ヒカルは佐為だけは
この行為に全くの無関係と考えていた。言わばヒカルは佐為を心の中の聖域として、
決して汚す事のない存在として大事に抱えてきた。それなのに、よりによってこんな時に
佐為を思い出してしまった。ヒカルはまるで佐為に行為を見られてしまったような、
途方もない罪悪感を感じて、泣き出してしまった。絶望的で緒方に懇願する。
「いわな…で…、その名前だけは…言わないで…!」
今だけは、お願い。そう言って涙で頬を濡らすヒカルを見ると、緒方は更に嬉しそうに声を立てて笑う。
そうしてからヒカルの股間を抑えつけていた足をどけると、またソファに戻ってしまった。
「まあいい、今日は勘弁してやるよ。さっさと済ませろ」
そう言われたヒカルは涙でグチャグチャになった顔を乱暴に腕で拭うと、またペニスを扱く動きを
再開した。今度こそ邪魔は入らなかった。ヒカルが射精するまで大した時間はかからなかった。
手を汚した自分の放ったザーメンを荒い息で呆けたように見つめるヒカルに、緒方は
「全部自分で舐めてきれいにしろよ」
と言い放つ。ヒカルはその命令におとなしく従い、時折眉をひそませながら丹念に舐め取った。
「美味いか?」
「ン…美味しくない…」
ヒカルの正直な言葉に、緒方は「そうか、自分のは不味いか」と笑いながらまだ酒を飲んでいる。
緒方のそんな揶揄には反応せずに、己のザーメンをきれいにしたヒカルは、緒方の次の言葉を
待ちわびている。これだけでは足りないのだ、後ろが疼いて仕方がない。
犬がお預けを食らったような顔をしてじっとしているヒカルに、緒方は小さな瓶を投げてよこした。
ヒカルはその小瓶をおそるおそる手にとって、未だソファから立とうとしない緒方を見上げる。
まだ何かさせようと言うのか?だんだんとヒカルの顔が不安に曇る。


(8)
「準備はしてきたんだろう?」
その問いかけにヒカルはコクンと頷いた。準備、とは腸洗浄の事だった。
緒方とのsexの前には必ず行う、ヒカルにとっては儀式のようなものだった。
最初は緒方に手伝って貰っていたが、最近では自宅で一人で出来るようになった。
そこまでヒカルの体はもう、緒方とのsexに慣れていた、いや、溺れきっていたと言うべきか。
「しかしそのままでは痛かろう、俺が突っ込む前に慣らしておけ」
その言葉に、ヒカルは我が耳を疑った。驚愕の表情のヒカルとは裏腹の感情のない緒方の声。
「聞こえなかったのか?自分で慣らせと言ったんだぞ、俺は」
小瓶の中身は薄いピンク色に染まったジェルだった。それを使えと言う。
ヒカルは見る間に顔を真っ赤にしながら、泣きそうな声で「できない」と呟いて首を振った。
「出来ないなら帰れ。もう二度と俺の前に姿を現すな」
ピシャリと緒方はヒカルを突き放す。「それだけは」とすがるような視線も、緒方を動かしはしない。
よこされた瓶を握り締めてかたかたと震えていたヒカルは、やがてそろりと足を広げた。
小瓶を開け手をジェルでベタベタにすると、そっと自分のアヌスに手を伸ばす。
「ちゃんと俺に見えるようにやれ。足を広げて、中まで見えるようにな」
ヒカルは黙って緒方の言われた通りに向き直り、息を呑んで一本だけ指をゆっくりと入れた。
「っ…はぁっ…ああっ…ふ、ううっ……」
人差し指を根元近くまで入れ終わると、ヒカルは大きく息をついた。
指で感じる自分の中の感触に戸惑うヒカルに、緒方はさも愉快そうに微笑を浮かべているだけだ。



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