日記 7 - 9
(7)
オレにしては、珍しく長続きしてるじゃん。
オレって結構マメだったんだな。
そういや、塔矢も日記つけてるって言ってたな。
しかも、小学生の時から。
感心しちゃうね。
やっぱり、塔矢には言えないな。オレが日記つけてること。
だって、途中でやめちゃったら、みっともないじゃん。
でも、こうやって見るとオレって字がへただな―――――
ほんと、つくづくそう思うよ。
アイツにもしょっちゅう下手だ下手だと言われたもんな。
虎次郎と比べるなよな。
アイツが虎次郎のこと言う度、腹が立った。
今ならわかる。
あれ、やきもちだ。アイツを独り占めしたかったんだな。
馬鹿だな。
(8)
最近つきあいが悪いと和谷に文句言われた。
そーかなー。週末の研究会にも、森下先生の研究会でも会ってるじゃん。
そりゃ、塔矢といる時間の方が多いけど…。
オレ、塔矢が好きなんだもん。
あいつ、忙しいからなかなか時間合わないし
ちょっとでも時間があるときは、一緒にいたいんだよ。
でも、こんなこと和谷には言えないよ。
恋人が出来ると友情にヒビが入ることって、ホントにあるんだな。
テレビの中の出来事だと思っていた。
オレ、和谷のことも好きだから、反省しよう。
和谷や伊角さん達とわーわー言うのも楽しいもんな。
(9)
今日は塔矢のところに行く予定だったのに、
都合が悪くてダメになった。
塔矢に急に仕事が入ったのだ。
それをこの前会ったとき、聞かされてオレはがっかりした。
その時、相当へこんだ顔をしていたらしい。
塔矢がすまなさそうな顔で言った。
「ごめんよ。この埋め合わせは必ずするよ。」
ちがうんだよ。
別に謝って欲しいわけじゃないんだ。
だって、オレが塔矢の立場でもやっぱり仕事をとるし。
落ち込んだのは自分自身にだ。
「仕事がんばれよ。」と、どうして言えないんだろう。
自分の気持ちをうまく言えなくて、もどかしかった。
塔矢の顔を見れなくて、俯いた。
塔矢がオレに、素早く、チュッとキスをしてきた。
びっくりした。
塔矢の家でもオレの部屋でもないのに、喫茶店だぞ。
「大丈夫。誰も見てないよ。ボクは、見られても平気だし。」
顔が熱かった。
塔矢って本当に大胆な奴だ。
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