失着点・展界編 74


(74)
ヒカルは驚いてアキラから離れようとしたが、すばやく両腕で抱き締められ
首の後ろから押さえ付けられて身動きできなかった。
いつもの通りのままのキスをされて、仕方無しに、目を閉じ、ヒカルは
アキラの舌を受け入れる。アキラを宥めるにはそうするしかないと思った。
だがアキラは冷静だった。ヒカルの舌を吸いながら横目で和谷を睨みすえる。
…お前ごときが、ボクから進藤を奪えると本気で思っているのか?
そういう、視線だった。
対局を終えた伊角がいつのまにか来ていて、その様子を冷ややかに見ていた。
和谷から表情が消え、無言で二人の包容から目を逸らす。するとようやく
アキラもヒカルの唇を離し、ヒカルの肩を抱いて立ち去ろうとした。
「…あっ…」
アキラの力は強く、有無を言わせないところがあった。だが、壁に寄り
掛かってやっと立っているような和谷を、そのままにしておけなかった。
「待って…!塔矢…!」
アキラはちらりとヒカルを見たが、無視して歩いて行こうとする。
「塔矢!!」
ヒカルは怒鳴ってアキラの腕を振りほどいた。
「…すぐ行くから、少しだけ和谷と話をさせてよ…。」
和谷の方を見ると、伊角が和谷に寄り添い、肩に手を掛けていた。
「伊角さん…」
「伊角…?彼が…?」
ヒカルが呟いた名前をアキラは問い返した。中国で一度伊角の名を耳にした。

日本から中国棋院に来てとても熱心に学んでいった人だと聞いている。



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