失着点・龍界編 75


(75)
大手合いの会場の中、背を伸ばし、凛として碁を打つアキラの横顔を
ヒカルはそっと見る。
おそらくあの夜のような表情をアキラが自分に見せる事はもう二度と
ないだろう。アキラとはそういう人間だ。
ただ、アキラの強さは決して生まれついたものではなくああして人知れず
涙と血を流して積み重ねて来たものなのだ。それだけは分かった。
ただまたいつか思い掛けない事が起きて、アキラの足下が崩れかけそうに
なった時、そんなアキラを受け止めてやれる自分でありたい。
そんな強さを持ちたいとヒカルは思った。


―三ヶ月後、とある囲碁関係者による催しがあるホテルのロビーで
ヒカルは久々に緒方と会った。
三谷は鑑別所等への送致は免れたが一年間の保護観察を受ける事になった。
その身元保証人に緒方がなってくれていた。
そして三谷も、時々駅前の碁会所に訪れ緒方から指導後を受けていると言う。
三谷に会いたかったが、三谷はヒカルを避けるように、ひっそりとやって来て
ひっそりと去って行く。三谷らしいと言えばそうなのだが。
「緒方先生…なんで…?」
ヒカルが理由を問う。
「ん?」
緒方はなかなか説明をしてくれなかった。ただぽつりと呟くように言った。
「…オレもああいう目付きで碁を打っていた事があった。」



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