初めての体験 77 - 78


(77)
 「あ…あ…ああん…」
ヒカルは佐為を真似て、自らを懸命に嬲った。指で軽く輪を作り、上下にさすったり、
先端を指でくすぐったりした。
 チロチロと舌を覗かせながら、喘ぐヒカルはとても子供とは思えない色気を発していた。
その姿に佐為の情欲はますます高まる。
「あふ…はあ……あぁ!」
ヒカルは、小さく呻いて、自らの欲望を解放した。掌には、初めて自分が放出した物が
べったりと付いていた。青臭くて、変な匂いだ。『早く手を洗いたい』とヒカルは思った。
 「ヒカル…それを指先になすりつけて、後ろに入れるんです。」
佐為が、まだ息の荒いヒカルに命じた。
「……?後ろって……お尻のこと!?」
ヒカルが、呆然と佐為を見つめた。佐為は黙って頷いた。
「え!やだよ!汚いじゃん――そんなとこに指を入れるなんて―――」
一気に身体の熱が引いた。ヒカルは佐為に猛然と抗議した。
 「でも、ヒカル…それじゃ、まだ、物足りないでしょう?」
佐為が、氷山でも溶かしかねない熱い眼差しを、ヒカルに向けた。途端に、一旦静まった
はずのヒカルの身体が、ドクンと熱く脈打ち始める。
「え…?ウソ…?治ったんじゃないの?へんなやつ出して腫れが引いたのに……」
ヒカルが狼狽えた。物足りないのは、ヒカルではない。佐為である。彼は、もっともっと
ヒカルが幼い身体をくねらせて悶える様を、ヒカルの痴態を見たかった。
 触れることが出来ないのなら、せめてヒカルの全てを余すところなく見つめていたい。「ね?まだ、足りないんですよ。」
佐為がヒカルにニコリと笑いかけたとき、ヒカルはもう喘ぐことしか出来なくなっていた。


(78)
 ヒカルはベッドの上で四つん這いになった。そして、佐為の言うとおり、自分の
放った物を指の先につけて、後ろに回した。だが、さすがに中に指を入れることには
抵抗があって、ヒカルの指は周辺を彷徨った。だが、佐為に無言で促され、ゆっくりと
中指をそこに沈めた。
「うぅ……!」
痛みに呻くヒカルに、佐為の静かな声が届く。
「そうです。そのまま、前後に動かして…」

 ヒカルは、佐為の言葉のままに、一本ずつ指を増やし、操った。
「は…あ…あぁ…」
いつしか、ヒカルの唇からは苦痛の呻きではなく、快感に啼く甘い声が紡ぎ出されていた。
だが、その甘い声に苦痛の色が混じり始めた。
「あ…だめ…だめ…だめ…だめだよぉ……」
身体の奥がくすぶって熱いのに、ヒカルの小さな指ではそこに届かない。自分の行為で
悪戯に身体を煽られ、ヒカルはますます身悶えた。佐為は『自分に肉体があれば、ヒカルの
望みをすぐに叶えてあげられるのに……』と、臍を噛んだ。
 ふと、机の上を見ると、ヒカルの筆記用具が散らばっていた。そこには、十五センチ程度
長さのマジックペンがあった。それほど、太くなく、まだ幼いヒカルには、これで十分
だと思われた。



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