少年王アキラ 8
(8)
老人は、摂政の桑原であった。
まだ若いアキラ王をサポートするのが、彼の役目である。
アキラ王は頭は切れるのだが、思い込みの激しさからしばしば暴走しがちであった。
放置プレイケテーイ(゚∀゚)を言い渡され、さめざめと泣く座間を桑原は一瞥すると
「王たるものは、もっと寛容な心で民に接するものじゃ。」
と、アキラ王に言った。確かにその通りなのだが、この老人が言うと腹に一物、
背に荷物、いかにも裏がありそうである。
アキラ王はむっつりと黙り込んだ。いくら桑原の忠告でも、アキラ王はこの決定を
覆すつもりはなかった。
そんなアキラ王の耳元に、桑原は囁いた。
「レッドは包容力のある大人が好き(はぁと)ピ――の小さい人はキ・ラ・イ」
「……くっ!」
アキラ王は唇を噛んだ。プライドの高いアキラ王にとって、一旦下した決定を
取り消すことは屈辱であった。しかし…愛しいレッドの名前を持ち出されては…。
ギリリッ(←唇を噛む音、血付)
「わかった…座間、行くぞ!」
アキラ王は、傲然と肩をそびやかし、大股で部屋を出ていった。座間は荷物を担いで、
よろけながらその後を追った。
座間の涙に濡れた顔が、太陽の光に反射してきらきらと輝いた。
「やれやれ…手の掛かる連中じゃ。さて、儂も出かけるかの…」
桑原は呟いた。
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