少年王アキラ? 8
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そんな簡単なパスワードでいいのか。言われるままにカチャカチャとパスワー
ドを入力しながら、オガタンは苛々と舌打ちする。
「そんな簡単なパスワードは駄目じゃないか。まぁ、キミの名を騙ってログイン
するような奴はここにはいないか」
オガタンはしばらく逡巡したあと、おもむろに<<緒方精次@ヒカルの碁>>と入
力した。
「緒方精次? なんだそれは」
少年王は見慣れない文字列を読み上げ、オガタンの顔を見上げる。眉間に皺を
寄せたオガタンは厳しい顔のまま顎で隣のデスクトップパソコンを指し示した。
「いいから早くそっちにも入力しなさい」
「さっきから、なんか偉そうだぞオガタン」
今日は気分がいいから許してあげるけど、明日なら確実に刑執行ものだぞ。ア
キラ王は親指を噛んで悔しさを滲ませた。
「あなたが入力してくれないと、本選には付いていきませんよ」
「……わかった」
少年王はキュートに唇を突き出して不満を表わしながら、同じように入力した。
「そうしたら、書き込むボタンを押して完了――だ」
「うん」
一斉にボタンをピコンと押すと、とてつもなく大きな任務をやり遂げたような
達成感が2人に訪れた。
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